ビッテンフェルト/黒色槍騎兵/火の鳥

ビッテンフェルト/黒色槍騎兵/火の鳥

 また銀河英雄伝説ネタです。ご存知無い方ごめんなさい。

 ビッテンフェルト率いる黒色槍騎兵(シュヴァルツ・ランツェンレーター; ちなみに正しいドイツ語発音だとランツェンライターだと言うべきらしいですが、宇宙歴800超にまで正しいドイツ語が残っているとは限らないわけであって英語読みと混合したようなものが出てきてもおかしくないとも言えん事はないとも思います(笑))の戦闘シーンに使われていたのが、ストラヴィンスキー「火の鳥」の中から「カスチェイ一党の凶悪な踊り」です。下にご紹介した動画は残念ながら削除されています。

 帝国軍の曲と言えばブルックナー交響曲第8番の第4楽章の印象が強いのですが、どことなく洗練された人の多い帝国軍にあって異色とも言える存在である、野蛮な猪武者的に描かれているビッテンフェルトの率いる黒色槍騎兵の戦闘に対してこのストラヴィンスキー「火の鳥」の「魔王カスチェイの凶悪な踊り」を使うというのは、絶妙だと思います。管理人も初めて見た時は爆笑してしまいました。

 ストラヴィンスキーの「火の鳥」はバレエのBGMそのものの全曲版(1910年)とそこから一部スピンアウトした組曲版(1919年)とが有名ですが(他に1945年版組曲もあり)、「魔王カスチェイの凶悪な踊り」はそのいずれにも含まれる曲です。

 「火の鳥」はロシアの民話に基づくストーリーです。魔王カスチェイの庭園の魔法の木に成る黄金の果実を目当てにやってきた火の鳥をイワン王子が捕らえます。火の鳥は逃してもらう代わりに自らの黄金の羽を王子に渡して逃がしてもらいます。やがて魔王カスチェイの城から、魔法にかけられた王女たちが現れ、黄金の果実でたわむれ始める。そこにイワン王子が登場し、王女の一人ツァレヴナと恋に落ちます。夜明けとともに王女たちは城に帰ります。すると魔王カスチェイの手下の怪物達が現れ、イワン王子を捕らえます。魔王カスチェイが捕らえられたイワンに対し魔法をかけて石にしようとするとき、王子は黄金の羽根を振り火の鳥を呼びます。現れた火の鳥は怪物たちに魔法をかけ無理やり躍らせます。その後、さらに激しく躍らせます。この激しく躍らせるときの音楽が「カスチェイ一党の凶悪な踊り」です。その後疲れ果てた怪物たちに子守唄を聞かせて眠らせます。眠らせたすきに不死の魔王カスチェイが不死でいられるのは魂を魔法の木の根元にある卵に隠してあってそれを壊したら魔王は死ぬと教えます。途中で魔王たちが目を覚まして妨害しますが、なんとか卵を破壊します!それによって、魔王は滅び去り王女たちや他の石にされていた人たちは正気を取り戻し、王子は王女と結婚して大ハッピーエンドです。

 この最後の曲は、アマオケ界では有名な替え歌「おうさだはるながしましげお」というものがあります。曲の豪華絢爛さと二人の偉大さとがマッチしたすばらしい替え歌なのですが、名前の字数からお気づきかと思いますが、変拍子ですね。こういうところに変拍子にこだわった辺りがストラヴィンスキーっぽいです(笑)

 この下の映像は「火の鳥の出現」から「カスチェイの手下たちの踊り」とその後の「カスチェイ一党の凶悪な踊り」(1分23秒の強烈な一撃で始まります)、そして「子守唄」までが含まれています。

 この下が最後の曲です。30秒くらいから始まって、2分02秒くらいから「おうさだはるながしましげお」が始まります。感動的です。

 ダヴァーイではまだストラヴィンスキーの作品を取り上げていませんが、ストラヴィンスキーにはこの「火の鳥」「春の祭典」「ペトリューシカ」、ヴァイオリン協奏曲などなど多数のすばらしい曲があります。ダヴァーイでも順次取り上げて行く予定ですのでしばしお待ちください。

10/05/01

トップページに戻る
特設ページに戻る

Twitterでつぶやく