のだめカンタービレ最終楽章/「1812年」序曲
のだめカンタービレ 「1812年」序曲
映画「のだめカンタービレ最終楽章」ではロシア要素がえらく足りませんでしたね。後編に至ってはゼロな気がするwww熊蜂の飛行があったかくらい。。。あ、パリアメ(パリのアメリカ人)のガーシュインは一応ロシア系ユダヤ人の息子でアメリカで改名する前はゲルショヴィチっつうたんで、ロシア系っちゃあロシア系ですが、ちょっと強引かも知れません。。。
さて、それらを除いて唯一とも言える作曲家はチャイコフスキーですね。バレエの子供達で白鳥の湖などが使われていましたし、千秋のマルレオケのデビュー演奏会で効果的に使用されていました。前プロで1812年、中プロがバッハでメインがチャイコの悲愴ってなんだかえらい揺れの激しいプログラムですが(笑)、とにかく、デビュー1発目の華々しさにふさわしい曲でした。原作では、ロッシーニの「ウィリアムテル」序曲が使用された部分ですが、これよりも1812年序曲の方が重厚で壮大だとの理由で変更されたそうです。
この曲のタイトルとなっている1812年というのは、ナポレオンのロシア遠征のあった年です。ロシアが「大陸封鎖令」を順守しないことを理由にナポレオンがロシアに攻め込みんだのでした。戦闘自体は優位に勧めながらも、焦土作戦や、「冬将軍」にやられて大敗北し、やがてナポレオンの没落のきっかけとなる戦争でした。作曲されたのは、1880年で初演が1882年です。曲は実際の戦争の進行に近く、ロシア正教の聖歌「神よ汝の民を救い」で始まり、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」が聴こえてきます。しかし、ロシア民謡風の主題が出て来ると、ラ・マルセイエーズは四散しだんだんと消えて行きます。そして最後はロシア帝国国歌が勝利を祝すかのように鳴り響きど派手に終わります。
上述の映画の後のテレビで放映された際には、映画版でカットされた部分も含めて放映されましたが、その時にはミルヒーが「この曲を演奏するのは、フランス人にケンカを売っているようなもの。パリでは滅多に演奏されない。この演奏を成功させれば本物です。」などと言ってるシーンがありましたが、ナポレオンに攻め込まれた国々ではかなり好意的に受け取られたようです。千秋が成功させたかどうかは、映画を見て下さいね(^^)
さて、この曲の楽譜は非常に面白く、「大砲 (cannon) 」パートがあるのです!!上のロシア人が優勢になってくるシーンで使われますが、通常のコンサートホールでやろうとすると、「消防法が・・・」などと言って断られたりするので大太鼓などで代用します。
しかしながら、本物の大砲(空砲)を使って録音された事も幾度かあります。そのうちの一つはこの下です。
レニングラード(現在はサンクトペテルブルク)でのチャイコフスキー生誕150年記念コンサート(1990年)のライヴ録音でして、ホールの扉を開けて、ホールの前の芸術広場で大砲を打ってました。演奏はテミルカーノフ指揮するレニングラードフィル(現在はサンクトペテルブルクフィル)でした。ここではバンダもロシア軍コスプレをしてました。
また、最近では2007年に陸上自衛隊朝霞駐屯地の野外コンサートで吹奏楽のコンサートがありまして、空砲を使って演奏してました
実際に見に行きましたが、ものすごい迫力でした。
また、変わり種として、ソ連ヴァージョンというのがあります。
上述のように、ロシア帝国国歌「神よ、皇帝陛下を護らせ給へ」
を用いますので、厳しい時代のソ連(ちなみに上のテミルカーノフも原曲版ですが一応ソ連です。)はそのまま演奏することが出来なく、該当部分はグリンカ作曲の歌劇「皇帝に捧げし命」(イワン・スサーニン)に置き換えた物が演奏されてました。ちなみにこの下はそのうちの一つ、スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立交響楽団。
なんだかひじょーに違和感があります(笑)
最後に番外編としてシモノフの演奏です。カノン砲を乱射するわ、花火まで打ち上げるわの怪演!シモノフ最高です!!!